藩偉斌氏講演「曹操高陵の考古学的発見と研究」

九博の特別展「三国志」記念特別講演会へ。

曹操高陵を発掘した当事者ならではのエピソードが興味深かったのはもちろんですが、丁寧に文献に当たって証拠を積み上げておられ、明快だった。

固岸北朝墓地(曹操高陵よりこっちの方がすごくない??)、三国魏大墓(曹丕と曹叡を取り巻く話も面白く聞きました。)の話など、次々に出て来る遺跡名や資料名にワクワク。

『水経注』や『晋書/與服志』にそんなことが書いてあるの??とか、陸雲がいろいろ書いていることとか、後で読むために必死でメモ。

短いが有意義な講演だった。

「夜な夜な三国志」~九博で無双を夢想

九博で開催中の特別展「三国志」。

10年ほど前の〝曹操墓発見〟のニュースには驚いたが、その出土品を見られるというので期待大だった。

一方で、明・清代の像や漫画の原稿・人形劇の人形などは、正直言って展示スペースがもったいないとも思っており、その分同時代の関連品を展示していただきたかったというのが正直な感想。

ところが、11月23日に行われたイベント「夜な夜な三国志」はとても面白くまた楽しく、こういう享受もアリだなと考え直した。

イベントではゲストの皆さんそれぞれの思いが語られ、視点の違いが新たな発想を生むのも興味深かった。

展示担当の九博の方が解説をされたのもわかりやすく、冗談だと言われていた「三国志展Ⅱ・Ⅲ」の実現を心待ちにしている。
(個人的には蜀の特集をお願いしたい!三国志の時代ではなく古蜀時代でも!契丹やベトナムで特別展をやった九博に期待。)

博物館でニコ生、そして無双のライブビューイングという仕掛けをよくぞやって下さった。

後世に付加された物語が入り口となって、歴史への興味関心に向かうのはよい。
展示室ではお子さん連れの方を何人も見かけ、小さいうちから博物館に足を運ぶのはいいことだなぁとほのぼの。
(むき出しの展示品に駆け寄っていた子も居たので、そこは親御さん方に気をつけてほしかったが。)

それでは印象に残った展示物について、箇条書きで感想を書いていく。
(展示室内の画像は九州国立博物館から提供していただいた。)

その1、儀仗俑

     ↓

馬の筋肉や表情までリアル。
馬車の直前に居る人物が持っているのは戟、武器好きの同行者と盛り上がった。

その2、土製の五層穀倉楼など

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どうやら屋根は瓦葺きで、三階が渡り廊下で繋がっているという高層建築。
装飾もカラフル。
あの時代に実際にこういう建物があり、豊かなところだったのがわかる。
出土したのは焦作市。

以前の展示「誕生!中国文明」展では、焦作市出土の七層のものが来ていた。
焦作市というのはこういう高層楼閣の模型が出土する土地柄のようだ。

焦作市とは黄河のすぐ北で、中に温県がある。
温県と言えば司馬懿の出身地。
なるほど彼の背景にはこういう背景があったのか、と新たな発見だった。
(司馬懿結構好きなので。西晋への流れを思うとまた。)

 

その3、鼎

   ↓

ちょっとびっくり。
鼎なのに土器。

これは質素と言っていいのか・・・。
けれど形と肌はとても滑らかで、丁寧な仕事であることがわかる。
これもまた、埋葬は質素にと曹操が遺言したことの表れと見て良いのだろうか。

その4、銅鼓

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こんなところでドンソン文化の銅鼓が!
と思ってしまった。
大ベトナム展で出会って以来好きになった銅鼓。
太陽の光芒やかえるの装飾がある。
三国時代の呉の物とのこと。
使っていたのは呉の人達だったのだろうか。
越の文化が脈々と受け継がれていると感じた。

展示品の感想は以上。

「応天の門」展 と「応天門を往く-菅原道真公を語る」

太宰府天満宮宝物殿で開催中の「応天の門」展に行った。

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余香殿では展示にちなんだ講演会も。

おみやげにホカホカの梅ヶ枝餅をいただく。

講演会の中で、松川氏の「道真の前歴から比べれば雲泥の差があるけれど、それでも流謫の身としては十分な手当があった」と言うお話が興味深かった。

コミックの最新刊も購入してきた。