九州国立博物館で開催中の特別展の感想です。
*展示室内の画像は九州国立博物館から提供していただいたものです。
「クリーブランド美術館」の名は聞いたことがありましたが、見るのは初めてでした。
日本美術の体系的コレクションで知られているとのこと。
広くて綺麗な美術館のようです。
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例えば宗教画と風景画は見る者に異なる反応を引き起こすと思いますが、ここでは「美術作品」としての位置づけが一貫しており、日本美術の時代ごとの流れがよくわかりました。
その中で印象に残った物を挙げてみます。
その1、「釈迦如来像」
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あれ?どこかで見たような?
それもそのはず、以前見た若冲の釈迦三尊像(相国寺)にそっくりです。
若冲はこの絵に触発されて、同じ構図のものを描いた・・・。
そんな話があったことをすっかり忘れていました。
アメリカに渡った一幅、というのはこれだったのですね。
思いがけず見ることが出来ました。
その2、「龍虎図屏風」
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1分間の間に、照明が朝昼晩と変わっていく工夫がされていました。
照明が暗くなるにしたがって、龍の顔と波頭が強調されて白く浮かび上がって来ます。
薄暮時に家屋の中で見たらおののくかもしれません。
他にも行灯のような色味だったりと、当時の人が見た環境に近い照明の工夫がされていました。
その3、「厩図屏風」
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馬の姿態がそれぞれで、見ていて飽きませんでした。
その4、「薄図屏風」
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色が少し薄れていましたが、広大なすすきの原に吹く風が感じられ、心惹かれるものがありました。
左右があって無いような不思議な空間で、部屋にあったら薄に埋もれているような錯覚を覚えそうです。
ボタニカルデザインとしてのシンプルな用の美も保ちつつ、薄をモチーフにした和歌の世界が広がります。
単純に季節感のある調度として置かれたのか?
仮託された意味があるのか?
あれこれ想像するのも楽しいことでした。
#めづらしき君が家なる花すすき穂に出づる秋の過ぐらく惜しも
番外、「海を越えた再会」
8月24日まででしたが、4階ではクリーブランド美術展ゆかりの作品が展示されていました。
曾我蕭白の「蘭亭曲水図」の兄弟ともいえる二作品が、地元九州の寺にあるんですね。
美術品のストーリーを知る上で、個人的には本編より興味深い展示でした。
また、クリーブランド美術館所蔵の雷神像は、福岡市美術館の風神像と対なのだそうで、風神像の方が展示されていました。
いつの日か、一堂に会する日がくるといいですね。
そんな感じの?図録の裏表紙。
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4階では「高校考古名品展」が素晴らしかったです。
アイデアが光っている応援動画。
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企画を聞いた時からとても楽しみにしていました。
(よくぞ企画してくださいました。)
磐城高校の「埴輪男子胡座像」は圧巻。
本当に、これが高校生の発掘の成果なの?という感じ。
会場は、入り口に校門があったり、展示室内に教室があったりして、学校の雰囲気がよく出ていました。
模擬教室はとても懐かしく、黒板には高校と考古学の関係がわかりやすく書かれていて、ちゃんとした展示になっていました。
地元福岡には、展示室を持っている高校がいくつかあったと記憶しています。
若い人にもっと興味を持ってもらえたらいいですね。
こちらは9月23日までの展示です。
そして、このフライヤーです。
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百済との交流をテーマにした展示が来春に開催されるようです。
七支刀や武寧王陵からの展示もあるとか。
こちらも同窓会のような趣があるかもしれませんね。
楽しみです。
展示室内以外の画像は自分が見た光景として撮ったものです。